近年、毎年のように災害が日本を襲っています。
日本の周囲では、
地震の活動期に入ったともいわれております。
今回は、地震や水害などで住宅が被害を受けた時に、
国などの公的機関がどのような制度を
用意しているのかについて解説します。
この記事を読めば、
お住まいに万が一の事が起きたときに、
どのような補助や支援を
受けることができるのかが分かります。
制度その1:被災者生活再建支援制度
被災者生活再建支援法とは、
自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者に対し、
都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して
被災者生活再建支援金を
支給するための措置を定めることにより、
その生活の再建を支援し、
もって住民の生活の安定と被災地の速やかな復興に
視することを目的(第1条)として、
平成10年に公布された法律です。
どのような支援をするのか?
災害によって住宅が全壊するなどして
生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して
支援金が支給される制度です。
損害の判定はどうやって行うのか?~損害基準判定~
損害基準の判定は、
固定資産評価を参考に
基礎や柱などの部位別の損害割合を算出し、
それらを合計して
家屋全体の損害割合を算出して判定します。
損害の度合いは、
家屋の主要な構成要素の経済的被害の
住宅全体に占める損害割合で
全壊から一部損壊までの
6つに区分されています。
5種類ある支援対象となる世帯
10世帯以上の
住宅全壊被害が発生した自然災害など、
法律が指定する自然災害によって被災した世帯で、
以下の条件に当たる世帯が支援の対象となります。
- 住宅が全壊した世帯
- 解体世帯
- 長期避難世帯
- 大規模半壊世帯
- 中規模半壊世帯
住宅が半壊し、
または住宅の敷地に被害が生じた場合であって、
住宅の倒壊防止、
居住するために必要な補修費等が
著しく高額となる事、
その他これらに準ずるやむを得ない事由によって、
住宅を解体しまたは解体された世帯
噴火等で危険な状態が継続し、
長期にわたり住宅が居住不能になった世帯
住宅が半壊し、
大規模な補修を行わなければ
居住することが困難な世帯
住宅が半壊し、
相当規模の補修を行わなければ
居住することが困難な世帯
2種類の支援金、その支給額はいくら?
支給額は
住宅被害程度に応じて
支給される支援金(基礎支援金)
と
住宅の再建方法に応じて
支給される支援金(加算支援金)
の2種類で、
合わせて最大300万円が支給されます。
それぞれ3/4の金額が支給されます。
支給申請から支給までの流れ
支援金の支給申請から
支給までの流れは下の図のとおりです。
申請に必要な書面
申請時に添付する書面は、
以下の書面が必要です。
基礎支援金
(中規模半壊世帯の場合は加算支援金)
❶市区町村発行の罹災証明書
長期避難世帯として申請する場合は、
長期避難世帯証明書
❷住民票の写し
被災時点の住所、世帯構成、世帯主、続柄がわかる
世帯全員分の住民票が必要です。
❸預金通帳の写し
金融機関名、支店名、預金種目、口座番号、
世帯主のフリガナがわかる物
半壊解体世帯申請の場合に必要な追加書類
❹市区町村が発行する解体証明書または
法務局が発行する滅失登記簿謄本
敷地被害解体世帯申請の場合に必要な追加書類
❹解体証明または
滅失登記簿謄本(半壊解体世帯の申請と同じです)
❺敷地被害証明書書類
宅地の応急危険度判定結果や
敷地の修復工事の契約書など被害を証明できる書面
加算支援金の場合
❻契約書等の写し
・工事請負契約書
・不動産売買契約書
・建物賃貸借契約書など
申請できる期間
基礎支援金と加算支援金は
同時に申請する必要はなく、
はじめに基礎支援金を申請した後に、
再建方法が決まった後で
加算支援金の申請を行うことも可能です。
制度その2:住宅の応急修理
被災した住宅の応急修理は、
災害救助法に基づく制度です。
災害救助法とは?
災害救助法とは、災害が発生し、
または発生するおそれがある場合において、
国が地方公共団体、日本赤十字社
その他の団体および国民の協力の下に、
応急的に、必要な救助を行い、
災害により被害を受けまたは被害を受けるおそれのある者の
保護と社会の秩序の保全を図ることを
目的(第1条)として昭和22年に公布された法律です。
9つある災害救助法で定義されている救助
救助の種類として以下のようなものがあります。
- 避難所および応急仮設住宅の供与
- 炊き出し、食品・飲料水の供給
- 衣類・寝具など生活必需品の給与または貸与
- 医療(助産)
- 被災者の救出
- 被災した住宅の応急修理
- 生業に必要な資金などの給与または貸与
- 学用品の給与
- 埋葬
今回は住宅に関する公的制度がテーマですので
「被災した住宅の応急修理」について解説します。
2種類ある修理
修理には、
浸水等を防ぐ土嚢・ブルーシート、
割れた窓をふさぐベニヤ板などでの修理を行います。
日常生活に必要な最小限度の部分の修理
の2種類が用意されています。
申請から応急修理、お金の支払いまで
申請書面を提出する前に
修理業者から修理費用の見積もりと
修理内容の説明を受けたうえで、
申請書面・見積もりをその他必要書類と一緒に
被災自治体に提出します。
申請書類を受理した自治体は、
被災者に工事実施の連絡をするとともに、
修理業者に修理依頼書を発行します。
修理業者は、被災者に説明した工事を実施します。
工事完了後、
修理業者が完了報告書を自治体に提出し、
自治体は修理業者に費用を支払います。
制度その3:災害復興住宅融資
住宅金融支援機構がおこなう融資制度です。
どのような融資をするのか?
災害で被害を受けた住宅の早い時期での
復興を支援することを目的とした制度で、
災害によって失った、
または損傷した家屋の復旧に対して
低金利で融資を行うものです。
場合によって異なる融資額
住宅を建設する場合の
融資限度額(基本融資額)1650万円ですが、
住宅再建方法によって
融資限度額や返済期間等が異なります。
融資の対象となる住宅は?
この制度は、災害で住宅が
- 全壊
- 大規模半壊
- 中規模半壊
- 半壊
したという旨の
「罹災証明書」が交付された方が利用できます。
融資の申し込み期限
原則、災害にあった日から2年間です。
例外は次の2つです。
例外❶
制度その1で解説した被災した家屋に
支援金が支給される災害により被災した場合
被災者生活再建支援金(加算支援金)の
申請期間の最終日の属する月の末日
例外❷
制度その2で解説した災害救助法の
9つの救助が行われる災害により被災した場合
応急仮設住宅の供与期間の
最終日の属する月の末日
大きな災害に被災して
融資の申込期限が2年を超えるものはこちらです。
2つある手続きの流れ
住宅を新たに建設する場合と
購入する場合で2つの流れがあります
まとめ
3つの公的制度を知っておくことで、
何をしてよいのかわからないという不安を
軽減することができます。
この記事が参考になれば幸いです。