儲かる?ワンルームマンション投資と保険との比較シミュレーション(インフレ期)

FP歴 12年以上
■ちょっと変わったFP、FP卵の育成、ビジネスコンサルタント、セミナー講師・・・などなど
■略歴
京都大学入学後、6か月で自主退学
23歳で㈱CPA Alliance 役員就任
28歳で㈱ADIF Alliance代表取締役就任
進学塾の立ち上げ後、FP(ファイナンシャルプランナー)業を開始。クライアントは個人から法人と幅広く、相談件数は1000件以上にのぼる。
ワンルームマンション投資って得なの?損なの?儲かるの?儲からないの?
ワンルームマンション投資というと、上記の質問が結構な確率であがってきます(笑)
どっちが得?ワンルームマンション投資と保険との比較シミュレーション(デフレ期)
上記の記事で書きましたが、「どの基準から判断するか」によって、得・損・儲かる・儲からないは変わってきます。
ただ、デフレ期(=物価下落)でさえ、ワンルームマンション投資はコストメリットが出る、つまりは得をする(見方によっては儲かる)わけですから、インフレ期(=物価上昇)は、さらにワンルームマンション投資はコストメリットが大きくなります。
ということで、デフレ期であれインフレ期であれ、
- ワンルームマンション投資は得
- ワンルームマンション投資は【一見すると】儲からない、が、【実際は】儲かる
と言えます。
ということで、今回は引き続き、「保険を基準」にして、インフレ期の場合のワンルームマンション投資のシミュレーションとイメージについて書いていきたいと思います!
もくじ
- 1 ワンルームマンション投資と保険の比較シミュレーションに入る前に
- 2 団体信用生命保険がリスクヘッジになる
- 3 団体信用生命保険と収入保障保険の違い その1:インフレ対応か非対応か
- 4 団体信用生命保険と収入保障保険の違い その2:自分のお金か他人のお金か
- 5 家賃は下落する前提でのシミュレーション
- 6 シングルワンルームマンションの家賃の下落率データ
- 7 ワンルームマンション投資の具体的な収益シミュレーション:インフレ期
- 8 収入保障保険+終身年金でプランニングした場合の収支
- 9 保険でかかるコストと、ワンルームマンション投資でかかるコストを比較
- 10 インフレ期(物価上昇)は、不動産が圧倒的に有利・お得
- 11 まとめ
ワンルームマンション投資と保険の比較シミュレーションに入る前に
今回は、新築でのワンルームマンション投資という前提にします。ちなみに、新築ワンルームマンション投資で失敗する例も多いのですが、詳細は以下の記事を読んでみてください。
新築プレミアムとは?新築ワンルームマンション投資の失敗談でよく聞く例
ワンルームマンション投資で、新築は失敗する?新築プレミアム、販売代理の存在は知っておくべきポイント
で、ちょっと下記の図を見てみてください。
価格1850万円(税込)で、35年フルローン金利は2.1%で購入したとします。(現在もう少し金利は安いのですが、まぁ一応)
この場合、月々のローン返済額は62,237円です。で、ワンルームマンションオーナーになると、修繕費用の積立金と管理費用が強制的にチャージされます。今回は、管理費修繕積立金は、6,500円とします。ローン返済額と合わせて、合計約70,000円が毎月出ていきます。
そして、肝心の家賃ですが、共益費込みで、8万弱くらいは取れるのですが、今回は78,000円の募集賃料とします。
ここまでをまとめると
35年フルローン購入(金利2.1%)
7万円の支払
募集賃料7.8万円
という形です。
で、空室リスクが怖いという場合に備えて、サブリース制度(家賃保証制度)を使い、毎月7万円の家賃保証を取るとします。
つまり、月額7万円の収益に対して、月額7万円の返済で、収支は【プラスマイナス0】という状況です。
今回は、上記の条件でシミュレーションをしていきます。
団体信用生命保険がリスクヘッジになる
ちょっと話は保険の部分に代わりまして、団体信用生命保険という保険があります。これは、マイホームを購入する時も使えますし、今回のように投資用不動産を購入する時にも使えます。特徴を一言で表すと、【ローン残債が無くなる・完済される保険】です。
金融機関側も融資した方が死亡した際などに、融資資金が回収できないというリスクを負っています。そのため、融資した金額に対して同額の保険に加入してもらうわけです。
下図を見てみてください。
30歳男性、妻28歳、子供2歳の家族を想定しています。夫(30歳男性)が投資用ワンルームマンションを購入したとします。この際、契約者である夫(30歳男性)が死亡した場合、ローン残債分の保険が適用されて、【ローンが完済】されます。団体信用生命保険に加入することにより、残された遺族に不動産ローンという負債が残らないわけです。そして、「ローンが完済された、ワンルームマンション」から入ってくる家賃が残された遺族に入ります。
この団体信用生命保険の保障範囲は、上記の図のように、ローン残債が減るにつれて保障金額も減るという形で、三角形型の保障を取ることになります。この三角形型の保障を取る保険は、収入保障保険の形と同じです。(収入保障保険に関しては以下の記事を見てみてください)
収入保障保険とは?!家族のためにもメリットとデメリットを理解して入るべき!
団体信用生命保険と収入保障保険の違い その1:インフレ対応か非対応か
夫(30歳男性)、妻28歳、子供2歳の家族の場合で考えてみます。(夫が死亡した場合の話です)下図を見てみてください。
収入保障保険の場合、残された遺族は、毎月約束された【金額固定】の保険金収入を受け取ります。このお金で、生活費や教育費等の足しにするわけです。
それに対して、団体信用生命保険を活用して、ローン残債が無くなったキレイな不動産を相続した遺族は、不動産から入ってくる家賃収入を受け取ることになります。この家賃収入は、【物価に影響を受ける】お金です。このお金で、生活費や教育費等の足しにするわけです。
さて、ここで、遺族に残される【お金の性質】に差が出ます。
収入保障保険による保険金収入は【額面固定】ですから、【インフレ非対応】です。物価が上昇して生活コストが上がってしまったとしても、保険金収入は一定です。
それに対して、不動産から来る家賃収入は、【インフレ対応】となります。物価が上昇した場合、家賃の上昇も見込めます。
現在、日本は円の価値を薄める形(円安)で、インフレ(物価高)を起こしています。詳細は、下記の記事を見てみてください。
インフレ対策は必須だと思いますので、僕個人の考えとしては、インフレ対応型の収益を残すことが出来る、【不動産&団体信用生命保険】の組み合わせの方がメリットが高いと思います。
団体信用生命保険と収入保障保険の違い その2:自分のお金か他人のお金か
次の比較は、コスト面での比較です。以下の図を見てみてください。
収入保障保険を活用する場合、保険料支払いは当然のことながら、【自分のお金】で支払います。ただ、ワンルームマンション投資で不動産を所有した場合は、話が違います。ちょっと言葉の使い方は悪いかもしれませんが、ストレートに表現します(笑)
不動産を購入する際のお金をフルローンという形で、金融機関から借り入れを起こし(他人のお金)、そのローン返済は入ってくる家賃、つまり【他人のお金】から支払いをします。
自分のお金を使うのか、他人のお金を使うのか、当然のことながら、【他人のお金】を使う方が自分自身の負担は少なくなります。
つまり、ここでも、【不動産&団体信用生命保険】の組み合わせの方がメリットが高いと言えます。
家賃は下落する前提でのシミュレーション
もっと具体的に数字の比較をしていきたいと思います。まず、シミュレーションをする際に大事なポイントとしては、【家賃は下落していく】という部分です。
不動産営業マンの中には、「家賃は下がりません」と言い切る方も居ますが、経年劣化と共に家賃は下がるのが普通です。(ここにインフレなどによる物価上昇が伴うと話は変わります。)
とにかく、「家賃は下落する」という前提でシミュレーションをしていきます。
シングルワンルームマンションの家賃の下落率データ
家賃が下落すると言っても、家賃500円とか1000円の部屋は見たことが無いですよね?(笑)それもそのはずで、家賃は一定の相場で下げ止まるというデータがあります。
引用元 三井住友トラスト基礎研究所算出のデータ
上記の青色の線が、シングル(18㎡以上30㎡未満)のワンルームマンションの家賃の推移です。よくよく見てみると、最初の約10年での第一段階の下落率が約1.7%/年間、11年目~20年目の第二段階の下落率が約0.6%/年間、築21年以上の第三段階においては、約0.1%/年間という形で、下げ止まっているのが分かるかと思います。
上記のデータでは、シングルのワンルームマンションの家賃は、ザックリ約80%で下げ止まっているのですが、ここは敢えて、「約70%弱まで積極的に下がる(その後下げ止まる)」という前提でシミュレーションをしていきます。つまりは、25年間毎年1%程ずつ家賃が下落していき、その後下げ止まるということです。
ワンルームマンション投資の具体的な収益シミュレーション:インフレ期
では、家賃の下落率も踏まえてシミュレーションをしていきます。下図を見てみてください。
家賃は最初7万円という形ですが、毎年1%程度ずつ25年かけて徐々に下落していきます。が、インフレ期の場合は、物価上昇が伴います。現在、日銀の黒田総裁はインフレにより毎年2%ずつの物価上昇を目指しています。ただ、毎年2%の物価上昇は外的要因もあり達成は難しいという前提で、話半分の毎年1%の物価上昇が起こるという前提でいきます。
上記の場合、家賃は毎年―1%ずつ下落しますが、同時に物価上昇が毎年+1%ずつ発生することになりますので、相殺されて、家賃は7万円のままを推移することになります。
ちなみに、不動産価格が上昇する要因としては、単なるインフレ政策に限らず、
- 建築資材の高騰
- 人手不足による人件費の高騰
- 地価の上昇(都市部)
- 人口流入(都市部)
- 大阪エリアに限っては、部屋数の圧倒的供給不足
- 民泊の存在(大阪・東京)
- ホテル業界と不動産業界の土地取得合戦
- 大阪IRへの期待値
などなどがあげられます。上記の不動産価格の上昇の要因に関しては、また別の記事に書きたいと思います。とにかく、エリア選定を含めたしっかりとした裏付けのある不動産に関しては、価格上昇の理由はあっても下落する理由が見当たらないくらい、活況になっています。
さて、話はシミュレーションに戻します。
結果、7万円の家賃収入に対して、ローン返済と管理費修繕積立金として毎月7万円支払うことになりますから、具体的な収支は以下のように35年間の合計収支は0となります。
はい、35年間の総家賃収入が2,940万円、総支出が2,940万円、差引きで【プラスマイナス0】ということになります。
この時、ワンルームマンション投資でプラスが出ていない=儲かっていないわけですから、投資自体は【失敗した】ということになるのでしょうか?
もし「プラス収益がガッツリ出ると思っていた」ならば、失敗ということになるかもしれませんが、フルローンで融資を受けて不動産を購入して、ガッツリとプラス収益が出るなら誰も苦労しません(笑)頭金を数百万円入れて、残りをローン組したならまだしも、フルローンでワンルームマンション投資をするなら、プラス収益は基本的には期待出来ません。
ここで、ちょっと違う切り口で合計収支プラスマイナス0という数字を捉えてみることにします。
収入保障保険+終身年金でプランニングした場合の収支
団体信用生命保険を説明した時に書きましたが、自分が死亡した後でも、遺族に収入を残してあげる方法としては、収入保障保険を活用する方法があります。また、死亡せずに長生きした時の将来の老後のために年金が入ってくるようにする終身年金保険というタイプの保険があります。(文字通り、生きている限り一定額の年金が貰えるというタイプの保険です)
ここで、先ほどのワンルームマンション投資の場合に入ってくる収入を保険だけでカバーしようとすると、いくらくらいのコストが出ていくかを見ていきたいと思います。
以下の図を見てみてください。
ローン期間35年の間は収入保障保険でカバー
ワンルームマンション投資の場合は、家賃7万円が入ってくるというシミュレーションをしました。つまり、ローン期間35年の間は7万円の家賃が入ってくるわけです。ここを保険だけでカバーする場合は、7万円が遺族に毎月入るように収入保障保険に入ることになります。
コストとしては、毎月3,000円×35年=合計126万円の保険料支払いが発生します。
ローン期間終了後は終身年金保険でカバー
次に、ワンルームマンション投資の場合、35年のローン終了後は、毎月7万円の家賃が入ってくることになります。この部分を保険でカバーする場合は、7万円が老後に毎月貰えるように終身年金保険でカバーすることになります。
コストとしては、毎月4.2万円×35年=合計1,764万円の保険料支払いが発生します。
※2015年段階の保険料で計算。今より「安い保険料」で計算しています。
つまり、収入保障保険で126万円、終身年金保険で1,764万円、合計で【1,890万円】の持ち出しとなります。
保険でかかるコストと、ワンルームマンション投資でかかるコストを比較
ちょっと数字をまとめます。下図を見てみてください。
コストの比較という切り口で見てみます。
⇒プラスマイナス0
保険の35年間のコスト
⇒1,890万円の持ち出し
⇒毎月45,000円の持ち出し
つまり、総コストで見ると、約1,900万円、ワンルームマンション投資の方がお得であり、毎月コストで見ると、月額45,000円、ワンルームマンション投資の方がお得ということになります。
ただ、冷静に考えると、これは当然の結果と言えます。保険料は【全額自分のお金】で支払いますが、不動産の場合は【他人のお金を活用しながら、足りない部分だけ自分のお金】で支払いをするわけです。自分以外の他人のお金を活用している分、コストメリットが出るのは当然と言えます。さらに、今回はインフレ期=物価上昇を伴うという前提でシミュレーションをしていますから、物価上昇による恩恵がある不動産は、コストメリットが出るのは当然と言えます。
ただし、だからと言って、不動産が絶対有利というわけでもありません。保険は途中で払い済などで支払いを止めることが出来ますが、不動産はそれは出来ません。(ローン残債以上で売却出来れば別)また、自分が所有している部屋で自殺が起きてしまった場合は、家賃減少の影響も受けます。
あくまで、支払いコストで見たときに、ワンルームマンション投資という不動産が有利ということです。あと、他にも、不動産を所有することで、領収書などの経費を使った節税が出来るなどのメリットもありますが、それはまた別の記事にて書きたいと思います。(少しだけ節税に関しても下記の記事にて書いています。)
公務員でも節税出来るって本当?!不動産投資で節税出来るってなんで?
インフレ期(物価上昇)は、不動産が圧倒的に有利・お得
どっちが得?ワンルームマンション投資と保険との比較シミュレーション(デフレ期)
上記で、デフレ期におけるワンルームマンション投資と保険のコスト比較シミュレーションをしています。
デフレ期の場合でも、保険よりもワンルームマンション投資の方が有利。具体的には、ワンルームマンション投資の方が約800万円以上のコストメリットが出ることになります。そして今回の記事で見てきたように、インフレ期の場合は、約1,900万円のコストメリットが出ています。
複数部屋を所有した場合、上記のメリット×部屋数分のコストメリットが出る計算になります。自分自身の資産形成を効率よく行うための合理的な手法と言えます。
まとめ
かな~り長くなりましたが、言いたかったポイントをまとめます。
- ワンルームマンション投資の場合、残された家族にインフレ対応の収入を残してあげられる
- ワンルームマンション投資で持ち出しが出たとしても、必ずしも「失敗」ではない
- 保険とのコスト比較という目線で見ると、持ち出しが出たとしてもワンルームマンション投資の方がコストメリットが出る
- インフレ期(物価上昇)に限らず、デフレ期(物価下落)でも不動産投資はメリットが出る
こんな感じでしょうか( ..)φメモメモ
もちろん、不動産なら何でも良いわけでもなく、ワンルームマンション投資ならどこのエリアでも良いわけではありません。しっかりとした選別の基準と知識は必要です。この部分もまた記事にしていけたらいいなと思います。
さて、今回のテーマ、文字で伝えるだけだと限界がありますので、もし、もっと勉強したいなぁと思ったなら、セミナーに参加頂くか動画コンテンツ(LINE登録者限定プレゼント)をご覧になって頂ければと思います!
では、今回はここまで~
FP歴 12年以上
■ちょっと変わったFP、FP卵の育成、ビジネスコンサルタント、セミナー講師・・・などなど
■略歴
京都大学入学後、6か月で自主退学
23歳で㈱CPA Alliance 役員就任
28歳で㈱ADIF Alliance代表取締役就任
進学塾の立ち上げ後、FP(ファイナンシャルプランナー)業を開始。クライアントは個人から法人と幅広く、相談件数は1000件以上にのぼる。